母国ゆえの、失敗の数々
イギリスは「戦車の母国」といわれます。第1次世界大戦中の1916(大正5)年9月、フランス北部で繰り広げられた「ソンムの戦い」において、

初めてイギリス製戦車が実戦デビューしてのち、「戦車」という兵器はイギリスはじめ各国で、試行錯誤が繰り返されながら進化を続けます。

しかし母国たるイギリスにおいても、当然ながら試行錯誤のなかでは、少なくない数の失敗作、駄作も生まれました。

まずは、とにかく長い車体が特長の「TOG2」です。なぜそのように車体を長くしたかというと、第1次世界大戦は塹壕戦だったため、次の大戦もきっと同じような戦いになるに違いないと考えたからでした。

塹壕の幅が広いと、車体長の短い戦車では渡れません。また無理に渡ろうとすれば、塹壕に落ちてしまって行動不能になりかねないのです。敵の対戦車砲や機関銃をものともせずに進み、

幾重にも掘られた塹壕を超えて敵陣まで行き、敵陣の至近で占領するための歩兵を降ろす――このようなコンセプトで開発されたため、全長は10.13m、重量は約81tにも達しました。この数字は当時、イギリスにて量産が開始されたばかりの

「バレンタイン歩兵戦車」(全長5.4m、16t)や「巡航戦車Mk.IV」(全長6.02m、15t)の倍近くの長さになり、重さに至っては実に5倍以上、重装甲ゆえの鈍重さで知られるドイツの重戦車「キングタイガー(ティーガーII)」の70tを上回ります。TOG2はキングタイガー以上に鈍重で、最高速度は13km/h(整地)しか出ませんでした。

TOG2が計画されたのは第2次世界大戦が始まった後の、1940(昭和15)年のことでしたが、ドイツによる戦車と急降下爆撃機をメインとしたスピード重視の「電撃戦」戦法が白日のものとなった後も開発は続き、

試作車ができあがったのは翌1941(昭和16)年になってからでした。すでに独ソ戦が始まる直前です。しかも、本車の開発改修はなんと1943(昭和18)年まで続いたのです。

結局、そのころには本車のコンセプトは、全く時代にそぐわないものとなっていました。

ちなみに、本車を開発する前に「TOG1」という前モデルも試作していました。その改良型だからTOG2なのです。


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ネットの反応

1.
産業革命を成功させた大英帝国も、こと兵器に関しては、ガラクタが多い。
かの、007でさえ愛銃はベレッタ、ワルサーだったかだね!
2.
失敗は成功のもと
3.
あの時代のイギリスの兵器開発がなんかおかしいのは戦車に限った話やないんやけどね。
飛行機でも、ポールトンポールデファイアントとかフェアリーアルバコアなんか、なんでそうなんねんって言いたくなるし、少しあとのウエストランドワイバーンもかなりすごいぞ。
ブラックバーンなんか、最後のバッカニアに至るまでおかしな機体のオンパレードやし。
4.
イギリスは兵器実験に積極的で良いと思ったらまずは実験する、という国だから…
結果、前衛的というか珍妙とも思える兵器を作る
そしてこの兵器はダメだと反省して次に活かす国(のはず)
あんまりバカには出来ないよね
個人的にはフューリアスの変遷が好きです
5.
センチュリオンは、イスラエルで SHOT-KAL戦車として、第三次/第四次中東戦争で主力戦車として活躍したが、砂漠での走行性能はM-48パットンよりも優れていて、イスラエルの救国戦車と呼ばれている。
6.
失敗は失敗でも当時の時代背景にそった目的があるから難しい所ですよね。ヴァリアントも試作一機ですませてる点は見習うべき点です。(往々にして声の大きい提案者の無茶ぶりでズルズルとなるので)
戦車ならもっと酷いのが一杯あるしね。空飛ぶ、とか。
7.
バックが前身より早い対戦車自走砲もあったよね
Wotで使ってた記憶
8.
センチュリオンがまだ、現役と云う真実。
9.
試行錯誤は悪くない。
コンセプトとトレンドの乖離はよくある話。
そこから学んで、方向性を見直し、次に活かす。
10.
イギリスの冗談か本気かわからないとこは面白い
11.
たかだかこの程度で史上最悪の戦車などと名乗らないでもらいたい
12.
護憲・非戦派の私でも、戦車とか戦艦は興味が尽きない。大好き。
13.
英国面ですね
14.
ジョンブルは自信たっぷりに我が道を行き、主流を回避する癖があるからな‥主力小銃のL85しかり、対戦車砲弾の用意されない戦車しかり(笑)
15.
紅茶砲と言われた183口径


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16.
英国は、戦車だけでなく、色々な駄っ作兵器の宝庫。有名なのはパンジャンドラムかなぁ。
17.
避弾経始全盛期にそれん全く考慮しないのはビックリ。
18.
色物は なにも英国に限った話でも無かろう
19.
時速十数キロだと電撃戦で使えない
戦線があまり移動しない塹壕戦のイメージが強すぎたのかな
20.
パンジャンドラムという移動爆雷があるけど電線ドラムみたいな形で両輪にロケット推進装置真ん中の筒が爆弾。ノルマンディー上陸作戦に使うつもりだったらしいが全然真っ直ぐ走らないで支離滅裂な走行しながら敵陣に多分向かうだろうという珍兵器…
21.
戦前 他国「軽、中、重戦車に分けよう」
イギリス 「巡航と歩兵に分ける」
戦後 他国「バランスがいいのが一番」
イギリス「足は少し遅いけど、硬いので」我が道を行く、がよくも悪くもイギリスだよな。
22.
試作品を失敗作と言われてもね。設計図だけでなく、考証するうえで試作品は必要だったでしょうよ。
23.
文章の間に垣間見えるマウンティング感が素人臭い記事。
本当にこれ月刊PANZER編集長が書いたのか?
24.
カヴェナンター戦車は予選落ちってことかな?
25.
色々試す中で失敗があるのも致し方ない部分もある。

必要なことは失敗ならそれを認めて早く切り換えること。
失敗を次に活かすこと。

26.
試作で終わった失敗作扱いだけど、量産された「ブリキの戦車」よりマシだね。
27.
イギリス軍は様々な兵器の、パイオニア的な存在であると同時に、独自路線が強くびっくりするような駄作も生み出してきた。
記事の冒頭のチャレンジャー戦車も、最強の装甲を誇るが重過ぎて・・・。
他国は後付けの反応装甲等で簡単に解決してしまった。
新型空母のクイーンエリザベスも、なぜか艦橋構造物が2個に分割されている。
しかしこの独自路線が、イギリス軍兵器の魅力なんだが。
28.
パンジャンドラム
29.
のちのガンタンクである。
30.
でも、戦車製造やめたね・・・。(涙)


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