(CNN) 映画やテレビで活躍していた中国の有名女優、范冰冰(ファンビンビン)さんが、突如として姿を消し、消息が分からないままになっている。
当局は有名人の脱税に対して摘発の姿勢を強めており、中国共産党が関与した可能性を指摘する声もある。
范さんは中国や欧米の映画に出演していたスター女優で、ハリウッド映画「X-MEN」シリーズにも登場し、収入もトップ級だった。
高級ブランドのCMにも起用され、2015年のタイム誌では中国で「最も有名な女優」に選ばれていた。
ところが6月初旬以来、公の場に姿を見せなくなった。
中国国営メディアは9月6日、范さんが行動を規制され、法の裁きを受ける予定だとする記事を掲載した。この記事はその後削除されたが、范さんの居所や、立件の可能性などに関する公式発表は行われていない。
問題の発端は5月下旬、范さんの署名の入った映画出演の契約書とされる画像が中国のソーシャルメディアに掲載されたことだった。
国営タブロイド紙のグローバル・タイムズによると、契約書は2枚あり、1枚は納税用で范さんの出演料は1000万人民元(約1億6300万円)と記載され、別の1枚には5000万人民元(約8億1000万円)と記載されていた。
これは中国で有名な脱税の手口で、少額を記載した契約書が納税申告に使われ、額が大きい方の契約は非課税所得として扱われる。
この書類を流出させたテレビ司会者は6月、范さんに対して謝罪したが、中国の国家税務総局は同月、同国の映画業界における脱税疑惑について緊急捜査を指示した。
范さんの事務所などは疑惑を全面否定していたが、范さんはその後、公の場に登場していない。
中国の大手制作会社に所属するプロデューサーは、CNNの取材に対し、脱税目的で2種類の契約書を作成する行為は映画業界で一般化していると指摘。
范さんの失踪を受けて誰もが不安を強めていると語り、「ほとんどすべての契約に何らかの不審な点があり」、監査には耐えられないだろうと予測した。
中国のエンターテインメント業界に詳しい米芸能誌ハリウッド・リポーターの元アジア担当エディター、ジョナサン・ランドレス氏は、中国共産党が「チャイニーズ・ドリーム」を売り込むために有名人を利用しながら、
一方で所得の著しい格差が拡大することは望んでいないと解説。「これは税金を収めさせるための脅しかもしれない。もし誰かが摘発されれば、今後何年もの間、映画制作に波及効果が及ぶ」と推測している。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180917-35125711-cnn-int
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