(1)地理的な条件が良く、アクセスが便利である
日中便は長らくビジネス需要が中心で、ANA 、JALが強みを持っていたが、ここ数年、中国の航空会社が便数を増やしている。特に、中国東方航空が日本便に力を入れている。
日経トレンディネット(8月8日)によれば、今年の8月時点で、「JALは日本国内3都市(東京・大阪・名古屋)から中国国内6都市へ週98便(往復)を運航、
ANAは同じく3都市からから中国国内10都市へ週175便を運航している。それに対して、中国東方航空は日本国内14都市(東京、大阪、名古屋、福岡、札幌、小松、新潟、静岡、岡山、広島、松山、長崎、鹿児島、那覇)から中国国内8都市へ週212便を運航している」としている。
距離的に近く、時差は1時間しかない。その上、交通の便が良いから、気軽に旅行ができる。
(2)治安が良く、どこでも綺麗で、清潔、静かである
日本の治安が良いことは国際的に広く知られている。PM2.5、水質汚染が深刻な問題となっている中国だが、日本の大気は綺麗であり、水質も良い。
さらに、日本の景勝地、街道はどこも清潔で静かである。人々が歩く速度もゆったりとしている。この点については、日本人が中国を旅行して感じることの逆のことを中国人が日本に旅行した時に感じるということである。
(3)中国で評価の高い日本製品が安く買える
日本の家電、化粧品、ベビー用品、日用雑貨、菓子類に至るまで、中国で高い評価を得ている日本製品は多い。
そうした製品が日本では安く買えることが大きな魅力となっている。これがそのまま、インバウンド消費につながっている。
(4)古い伝統文化と国際的大都市の共存
京都は1000年前の長安を模して都市づくりが行われたと言われており、中国人にとっては既に消失してしまった古代の中国都市を見るような懐かしさを覚えるようだ。
一方で東京は、世界のブランド店が軒を連ねる銀座から、江戸時代から続く下町の雰囲気を今に伝える浅草、中国でも人気の高いサブカルチャー分野の中心地である秋葉原まで、
様々な側面を持っている。中国人から見ても、日本の観光資源は、都市にしても、景勝地にしても、十分に厚みがあるようだ。
(5)サービスの質が高い
高級百貨店の接客サービス、交通機関の正確さ、便数の多さ、使い勝手の良さに対する評価は高い。こうして要因をまとめてみると、日本への旅行者増加は、一過性のブームではなさそうだ。日本の優位性は他の旅行先と比べると明らかである。
2020年の東京オリンピックを目標に日本全体でホテルの量・質を高めたり、観光資源の発掘、質の向上を進めたり、
政治的に日中関係を改善させたりすることで、日本旅行がブームではなく長期的なトレンドとして定着する可能性がありそうだ。
文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うTS・チャイナ・リサーチ代表。
メルマガ「田代尚機のマスコミが伝えない中国経済、中国株」(https://foomii.com/00126/)、ブログ「中国株なら俺に聞け!!」(http://www.trade-trade.jp/blog/tashiro/)も展開中。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181003-00000002-moneypost-bus_all&p=1
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