大阪市とサンフランシスコ市との間で61年間続いた姉妹都市提携が2日、解消された。苦渋の決断の背景にあったのは、不確かな主張を真実であるかのように記した像と碑文の公共物化を放置すれば
「国際社会に誤ったメッセージを発信する」との吉村洋文市長の危機感と、再三にわたる申し入れを拒否され、最後には「返事すらない」と言わざるを得なかったサ市への不信感だ。
■橋下氏時代から
「こちらの思いを伝えたが返事すらなく、ちょっと非礼な行為だと思う」。2日、姉妹都市提携を解消する通知をサ市に出したことを明らかにした吉村市長は、率直な思いを語った。
自治体国際化協会(東京)によると、国内と海外の自治体間での姉妹都市提携は約1700件に上るが、歴史認識の違いから解消したケースは「過去に聞いたことがなく極めて異例」(協会担当者)だ。
問題となった碑文や像の設置の動きが表面化したのは平成27年。この年、当時の橋下徹市長は「日本の事例のみを取り上げることによる矮小化は世界の問題解決にならない」との意見をサ市側に伝え、適切な対応を求めた。
同年、橋下前市長の後に大阪市長に就任した吉村市長もこの方針を引き継ぎ、中国系団体の主導で進む公共物化の動きに何度も懸念を伝えてきた。
しかし、エドウィン・M・リー市長(当時)は「たとえ批判にさらされようとも、(選挙で選ばれた市長として)地域に応えていく」と公共物化に向けた姿勢を強調。
溝が埋まることはなく、大阪市側が吉村市長と市長同士の面会を打診したこともあったが実現しなかった。
■吉村氏方針貫く
大阪市内部には異論もあった。市議会では与党の大阪維新の会を除く自民、公明、共産3党が姉妹都市解消に反対を表明。市幹部から「(市長は)やり過ぎだ」との声も聞かれた。
だが、吉村市長は「姉妹都市として『受け入れられない』という明確な意思表示をしなければならない」と主張し、方針を貫いた。
吉村市長は2日、一連の問題を振り返り、「韓国・中国系の住民が多く、政治的な影響もあるのだろう」と推測。
「現地の総領事館は情報収集し、問題解決に向けて動く姿勢がなかった」と日本政府の外交姿勢についても疑問を呈した。
「姉妹都市の間には兄弟関係のような深い信頼関係が必要だ。行政としての交流はやめる。今後は民間レベルの交流を続けてもらったらいい」と述べた吉村市長。
姉妹都市提携が解消されることで、両市では5年ごとの節目に開催してきた周年記念行事などが取りやめとなる。
「儀礼的なものが多いのが実際」(市議会関係者)で、解消による行政的な影響は最小限にとどまる見込みだが、サ市との交流事業に市として補助金は出さない方針だ。
引用元:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181002-00000674-san-kr
みんなのコメント