新たな家族を求めていらっしゃる女性からすれば、妊娠というのはとりわけ嬉しいニュースだと思います。ですが、妊娠したら、今までの暮らしが一転し、太ってしまうことがほとんどです。
更に、もとから肥満の体型でいらした人というのは、お腹の赤ちゃんのことも気になってしまいますよね。
肥満だから痩せたいと思っていて、妊娠中でもダイエットは可能なのでしょうか。妊娠中に肥満と診断を受けた人はぜひ目を通していってください。
目次
妊娠中の肥満ってどういう状態のこと?
肥満の時に妊娠したとしたら、自身の健康状態は勿論のこと、お腹の赤ちゃんの状態が心配になってしまいますよね。
実際のところ、適正体重で妊娠した人と比較して、肥満の状態で妊娠した人についてはたくさんのリスクが存在しています。
であれば、肥満というのは果たしてどういった状態のことなのか知っていますか?妊娠中、どれくらいまでなら体重が増加しても気にする必要はないのでしょうか。
妊娠した時BMI25を超えていたら肥満で出産リスクが高まる
肥満というのは普通よりも体重が重い、または体脂肪が必要以上についてしまっている状態のことを指し、通常は、BMIもしくは体格指数という名のBody Mass Indexの数値が目安となっております。
こちらの数値に関しては、体重(㎏)÷身長(m)÷身長(m)で計算することによって分かり、その数値次第でご自身が肥満なのかそうでないのかを把握することができます。
日本においては、日本肥満学会といった基準によって、BMIが25以上を「肥満」、そして35以上を「高度肥満」と決められています。
妊娠中は太りやすい
妊娠したら、お腹の赤ちゃんに血や栄養分を届けるため、血液の量が増えてきて、皮下脂肪がつきやすいように変化します。そんな感じで女性の身体は出産の準備をスタートするため、太りやすくなるのはいたって普通のことです。
仮に、赤ちゃんの体重というのは臨月でおおむね3㎏、胎盤は500g、それに羊水、血液などを含んだ上昇を合わせると、おそらく5~7㎏程度は必ずアップします。
ですが、あまりにも増えてしまったら、母体だったり赤ちゃんに不都合が生じる確率が高くなっていくのです。その為、妊娠中というのは体重の増加を入念に気を付けなければならないのです。
妊娠中はどれくらい体重が増えても良いの?
それでは、果たしていくらくらい体重が増加しても大丈夫なんでしょうか。
厚生労働省「妊産婦のための食生活指針」における「妊娠期の至適体重増加チャート」を確認すると
BMI18.5未満は9~12㎏
BMI18.5~25は7~12㎏
BMI25をちょっと超えるくらいの場合は約5㎏
すごく超えているケースではひとりひとり対応すると表記されています。
ちなみに、日本産婦人科学会が押している体重増加のエリアもほとんど同じ程度ですので、こちらの数値をベースとして考えると悪くないですね。
肥満妊娠のあらゆるリスク
肥満の時に妊娠してしまった場合、あるいは妊娠中に一気に太ってしまった時は、たくさんのリスクが存在しますが、果たしてどういった問題が生じると思いますか。
知名度の高い病気で、元々妊娠中毒症と言われてあった妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病が見られます。加えて、赤ちゃんの先天性疾患の1個である神経管閉鎖障害のリスクもございます。細かくチェックしてみましょう。
肥満妊娠のリスクで妊娠高血圧症候群
妊婦の20人中1人くらい比率で発症すると考えられている妊娠高血圧症候群になります。
日本産科婦人科学会によれば、妊娠20週以降から産後12週の間に、収縮期血圧が140mmHg以上、もしくは拡張期血圧が90mmHg以上に到達すると、妊娠高血圧症となります。
他にも尿の中に一日あたり0.3gの淡白が生じる蛋白尿を認めるケースでは、妊娠高血圧腎症となります。
こちらの病気に関しては妊娠32週以降に引き起こされる傾向が高いながらも、それより早く見舞われたケースでは、症状が重症化しやすくなってしまって、母体に限らず、赤ちゃんにも悪影響をもたらしていくでしょう。
最悪の場合赤ちゃんが命を落としてしまうことだってあるので、一定間隔で検診して、医師の指導をしっかり聞いて、正しい周産期管理をやって頂くことが大事になります。
肥満妊娠のリスクで妊娠糖尿病
妊娠糖尿病というのは、妊娠中に糖代謝の不具合に当てはまる病気になります。妊娠する前より糖尿病であったり、妊娠中にれっきとした糖尿病と診断されたケースでは、妊娠糖尿病に比べてかなりひどい状態で、食事内容のコントロールを厳しく管理することが要求されます。
妊娠中の女性の7~9%が診断されてしまう妊娠糖尿病に見舞われると、お腹の赤ちゃんさえ高血糖となってしまうので、かなりの合併症が生じる可能性があります。
それに伴って、妊娠中については、アクティブに運動を行うことが難しいですので、食事療法を十分にやり、炭水化物の食べ過ぎには注意しなければならないのです。
肥満妊娠のリスクで神経管閉鎖障害
肥満のさなかに妊娠したケースで、お腹の赤ちゃんに生じる恐れのある病気の一つに神経管閉鎖障害がございます。
妊娠初期にというのはお腹の赤ちゃんのいろいろな器官が形成されるのですが、この期間に葉酸の摂取量が不十分になったり、糖尿病や肥満などが原因で神経管閉鎖障害が生じる可能性があります。
遺伝的な関係も見られるため、確実に予防することは困難な病気になりますが、葉酸を摂取して、正しい食生活を送ることによって肥満の状態を解決することで少しでも発症する確率を下げることが可能になります。
肥満妊娠で出産時に生じるリスク
肥満の時に妊娠した場合、妊娠中にたくさんの病気のリスクが存在しますが、出産時にもいろいろな問題が生じます。
適正体重で妊娠した人とは異なり、出産が難産になってしまったり、微弱陣痛や、産道が狭くなってしまう等、何種類ものリスクが伴います。
出産に関して、医師とか助産師の言われたことをしっかりと守って、正しい体重管理をスタートしていく方が良いでしょう。
肥満妊娠の出産時のリスクで難産
肥満の時に出産をするケースでは難産に見舞われやすいと聞きますよね。これは、皮下脂肪が産道の周囲につくことによって、産道が狭くなってしまうことや、
赤ちゃんが成長しすぎて産道をあっさりとは通れなくなってしまうケースや、子宮の周囲に必要以上の脂肪がつくことによって陣痛が弱くなるせいで、お産が長時間かかることなどが理由となります。
難産に関しては母親であっても赤ちゃんからしてもしんどいことです。難産にならないためにも、妊娠中の体重管理というのは意識したいですね。
肥満妊娠の出産時のリスクで微弱陣痛
陣痛というのは、出産時に子宮が小さくなり、赤ちゃんを外の世界へ押し出そうと挑戦する身体の働きのことになります。
肥満の時に出産がくると、子宮の周囲に必要以上の脂肪がついてしまって、陣痛が発生させる骨盤内の神経の刺激が起こりづらくなってしまって、微弱陣痛となるケースがあります。
微弱陣痛のケースでは、子宮口が開きづらく、お産が困難になって、赤ちゃんがササッと外に出てきづらくなります。
お産がてきぱきと上手くいかないと、母体も赤ちゃんもリスキーな状態になってきますので、陣痛促進剤を活用したり、帝王切開術によって赤ちゃんを取り出すといった緊急措置が必要となることも考えられます。
肥満妊娠の出産時のリスクで産道が狭くなってしまう
陣痛がスタートすると、母親は陣痛に応じていきみ、赤ちゃんは回旋を行ないつつ(からだの方向を変えつつ)母親の骨盤内に下りてくるはずですが、産道が狭くなっていると正しく回旋することが不可能になってしまうのです。
産道が狭くなってしまう理由は、産道の周囲に皮下脂肪が蓄積されているからで、肥満の環境下で妊娠すると見舞われやすくなってしまいます。
このようにしてお産が困難になったとしても、骨盤に十分な広さがあるケースでは、お産を進行し続けることも可能となりますが、困難なケースだと、帝王切開術で赤ちゃんを引き出すことが必要になります。
肥満妊娠の出産時のその他のリスク
どうにか安全に出産したのだけれど、肥満の時に赤ちゃんを産んだ後にはトラブルが起こりがちになってくるのです。
例を挙げると、赤ちゃんを産んだ後の弛緩出血です。これに関しては、赤ちゃんが生まれた後、胎盤を引っ張り出した時に出血が生じますが、通常通りならば少ししてから出血がストップします。
しかしながら長い時間に及ぶお産が原因の子宮の疲れなどが影響を及ぼして、出血がまったく止まらない弛緩出血が生じる場合もございます。
それに加えて、出産時に会陰切開した傷が治りづらくなる可能性もあります。その為に、当分の間痛みが長続きしてしまったり、不都合に見舞われることとも考えられます。
それから、赤ちゃんを産んだ後、体重が元に戻りづらくなる可能性もあります。
妊娠中に増加した体重はちゃんと元に戻したいと思いますが、戻りづらくなってしまうと肥満の時のままになってしまうといったことが起きます。肥満の状況は健康面におきましても避けた方が良いですよね。
妊娠中でも可能なダイエット方法
妊娠中の検診によって医師に注意されたら、体重がもの凄く増加しないことを目的にきちんとコントロールすることが重要になります。言うまでも無く激しい運動なんかは止めましょう。
食生活を改善し、ほどよい運動を行って、頑張り過ぎないでダイエットを行って行くようにしてください。
かと言って、具体的にどんな方法があるか十分にわかりませんよね。ここでは、具体的にすることが可能な内容を少しばかり紹介していきます。
食事の見直し
食事内容では糖分だったり脂肪分を増やさないように注意します。身体を冷たくしないことに気を付けて根菜をたくさん食べることを意識してください。
運動不足などによって便秘になってしまいがちですから繊維質を可能な限り食べるように意識してください。
なんとなく和食が良いと言うのは、ヘルシーで栄養配分がいいからですよね。1日毎に朝・昼・晩の食事でバランスを考えて栄養摂取することを目指しましょう。
それはそれで日々の食事を考えることが困難である人は、医師に相談して食生活の指導してもらうと望ましいと思います。
マタニティスイミング
妊娠したら、これまで負担なく出来たことができなくなってしまいます。特に頻繁に動いていた人はかなりの運動不足、それに影響されるストレスで気分が暗くなってしまう可能性があります。
そんな時、やってほしいのがマタニティスイミングでございます。水中の浮力を活用した運動ですから、身体には負担が加わりません。
プールの中で浮かんでいると、リフレッシュにもなると思います。ほとんどの場合安定期に入ったころから始めることが出来ますが、医師に相談して開始するようにしてください。
しっかり家事を行ったり散歩する
日々の生活において、手がたく可能な運動と言ったら、家事や散歩なのです。
重い物を動かしたりやるのは言うまでもなく駄目ですが、お腹にダメージを与えないように掃除機で掃除したり窓を拭いたりしたり、一定間隔でご近所を散歩することを目標にすると、一日のリズムにけじめが生まれます。
赤ちゃんが生まれたら、安易には思うままに散歩することだってやれなくなります。妊娠中はお腹の中に存在する赤ちゃんと一緒に可能な運動やリフレッシュをちょっとずつ行っていくように心がけてください。
ストレスを溜め込まないように医師に相談しよう
特に初めての経験として妊娠した人というのは、思いつく限り全てが初めて体験してみることばかりですよね。
あんなことをしても大丈夫かな、ああいったことは駄目なのかな等、不安な点はかかりつけの医師に相談することを意識してください。
たった一人でため込んでしまったら、ストレスが生じてしまいます。妊娠中は可能な限りストレスなく、のんびりと良い気分で過ごしたいものです。
妊娠中の肥満はリスクが多いのまとめ
肥満の時に妊娠したら、たくさんのリスクがおこります。妊娠中は当然の事、出産した後に関しても、普通の体重の人よりも幾つもの問題が生じやすくなってしまうため、食事管理をちゃんとして、ほどよい運動を行って、急速に太ら無いように気をつけていきましょう。