3年連続で圧倒的な力を見せつけるカープの姿を見ても、まだ気がつかないのだろうか。べらぼうなカネを積んで選手を連れてきても強いチームは作れないし、選手たちも幸せにならないということに。
年俸総額は広島の約2倍
9月6日現在、セ・リーグ首位の広島と3位の巨人のゲーム差は15.5。巨人の優勝は極めて難しい状況だ。プロ野球選手会の調査によれば、今年巨人が選手に支払っている年俸の総額はセ・リーグで断トツの約39億円にのぼる。2位の阪神が25億円であることを考えれば、いかに突出しているかがわかるだろう。
いっぽう、三連覇に向けて順調にひた走る広島の合計額は21億円に過ぎない。
〈アイツらが期待どおりに活躍してくれていれば、今頃こんなことにはならなかったのに……〉
巨人の高橋由伸監督の脳裏によぎるのは、近年、多額の年俸を払って連れてきたFA戦士たちの姿だ。
他球団が手塩にかけて育てた主力選手たちを圧倒的な資金力で強奪してくるのは巨人のお家芸だが、高橋監督が就任した’16年以降はとりわけ「爆買い」が目立つ。
発端は監督就任1年目、シーズン途中で巨人がBクラスに転落したことだった。東京ドームの試合を観戦に訪れていた読売のドン・渡邉恒雄主筆はこう言い放った。
「やっぱりこれはね、由伸の責任じゃないからな。フロントだよ。補強してないんだから。こんなに補強せずに、今の陣容で勝てったって無理だよ」
この発言に、巨人のフロントは色めき立った。
結局、’16年のシーズンを終えてみれば、広島に次ぐ2位まで順位が上がったものの、オフに入るとFA市場での乱獲を開始。
山口俊(元DeNA)と3年推定約7億円で契約したのを皮切りに、森福允彦(元ソフトバンク)に3年推定4億円、陽岱鋼(元日ハム)には5年推定15億円と、多額の資金を注ぎ込み、FA市場の目玉を「総取り」した。
これだけ獲れば、優勝を狙える――。高橋監督を始め、巨人の首脳陣はそう確信したに違いない。
だが、フタを開けてみれば、ソフトバンク時代は中継ぎの要だった森福の昨季登板は30試合にとどまり、陽岱鋼は打率・264と低迷。
そして、山口にいたっては、登板試合数がわずか4試合しかないうえ、泥酔して暴行事件を起こし、書類送検される始末で、良いところがまるでなかった。
そして今シーズンも、3人そろって高額の年俸に見合うような成績をあげられていないのはご存知のとおりだ。
巨人OBで野球評論家の高橋善正氏が嘆く。
「3人とも決して悪い選手じゃないけれど、それほどの金額を出してまで取ってくる格の選手かといえば、違うでしょう。陽は足に故障を持っていたわけだし、山口の性格にムラがあることもきちんと調べれば簡単にわかること。
『とにかく新戦力を取ってこい』という大号令のもと、名前だけを見てカネにものを言わせようとするから、こういう結果になるんです」
かつての広澤克実(ヤクルトから移籍)や江藤智(広島から移籍)らの例をあげるまでもなく、古巣では主力を担っていた選手が、巨人に移籍してから精彩を欠くという例は枚挙にいとまがない。
しかし、彼らが当時の球界を代表するような選手だったのに比べて、ここ数年の巨人の補強は、「その選手にそんなに出すのか」と首をかしげたくなるような例がとかく目につくのだ。
’13年のオフに獲得した大竹寛(元広島)、片岡治大(元西武)、’14年の相川亮二(元ヤクルト)……いずれの選手も、巨人に移籍して以降は、古巣にいたときの輝きをすっかり失ってしまった。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180929-00057559-gendaibiz-bus_all
みんなのコメント