「亡くなる前日、入院先から自宅に戻りました。病院を離れれば、何かあったときに迅速に処置できない。ですが、本人のたっての希望を、周囲が受け入れた。在宅死の場合、死亡診断書の発行が遅れたりすることがあるそうなんですが、そういった懸念についても事前に担当医と相談していた」(芸能関係者)
9月15日、女優の樹木希林さんが逝去した。享年75。最期まで第一線で活躍を続けた女優は、10年以上にわたって、がんと共に生きる日々を送った。
〈私は全身がんですから。来年の仕事は、お約束できないんですよ。本当に〉
2013年3月、日本アカデミー賞授賞式での樹木さんの告白は世間を驚かせた。
初めてがんが見つかったのは、2004年の夏。乳がんが発覚し、翌年1月に右乳房を全摘出。2年後の2007年、手術したはずの右胸にがんが再発し、以降、腸や副腎などへの転移を繰り返した。
〈私はがんができる体質になっちゃってる。(がんとは)つきあいたくないけど、出てくるものはしょうがないですよね。私の場合、日々の生活の仕方は、がんを受け入れているという形なんですよ〉(『女性セブン』2012年9月27日号)
樹木さんはがんが見つかる度、鹿児島のクリニックを訪ねた。放射線療法の一種の「四次元ピンポイント照射療法」を行なう施設だ。
「がん組織に対して放射線を立体的に当てる『三次元照射』に、呼吸によるがんの位置変化を追跡する時間軸を加えたのが『四次元ピンポイント照射』です。
がん細胞のみを狙い撃ちし、正常な細胞を傷つけることが少ないため体への負担が軽いとされています。一方、保険適用外のため、1回の治療で150万~250万円ほどする」(医療ジャーナリストの田辺功氏)
全身30か所にも及ぶ治療を施し、長い時には1か月近く鹿児島に滞在することもあった。だが、毎日の治療は20分程度で、“入院”ではなく近くのホテルに宿泊しての“通院”。クリニックにいるとき以外は、普段通りの時間を過ごした。
「がん治療は、『外科手術』と抗がん剤を使った『薬物療法』、『放射線療法』の3本柱を進行具合などによって組み合わせるのが一般的。
ですが、患者によっては体力の落ちる手術や、吐き気や全身のだるさ、髪の毛が抜けるといった副作用を伴う抗がん剤治療を避けたいと希望するケースもある。
平穏な日常生活を送れないほどのクオリティー・オブ・ライフ(QOL)の低下を懸念する声は少なくありません」(同前)
がんの根治、あるいは寛解を目指すことは、時に大きな代償を払うことを余儀なくされるのだ。
※週刊ポスト2018年10月5日号
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180921-00000018-pseven-ent
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