中国は急遽、アメリカの政府高官との重要な安全保障に関する対話をキャンセルした。これは両国の関係悪化を示す兆候の1つだ。アメリカのジェームズ・マティス国防長官は、10月中旬に予定されていた訪中をキャンセルした。 毎年恒例となっている外交・安全保障対話に中国の政府高官が対応できないとの連絡を受けた後のことだ。
アメリカと中国の緊張が高まる中、シニアレベルの会談を中国がキャンセルするのは、この1週間で2度目だ。中国海軍トップの沈金龍司令官は、アメリカ海軍制服組トップのジョン・リチャードソン作戦部長との会談を急遽、中止していた。
「緊張が高まっていて、これは両者にとって危険であることを示している可能性がある」と、アメリカのある政府高官はロイターに語った。
数千億ドル規模の関税を輸入製品にかけ合うといった貿易戦争のみならず、アメリカと中国は軍事面でも対立を深めている。
アメリカ国務省は9月20日(現地時間)、中国によるロシアの最新鋭戦闘機「スホイ35」や最新鋭地対空ミサイルシステム「S400」の購入は、アメリカによる対ロ制裁に違反するものだとして、
中国人民解放軍の兵器・装備品の管理部門にあたる共産党中央軍事委員会装備発展部を制裁対象に指定した。中国政府はこれに激怒。専門家の中には、中国の軍事力を封じ込める狙いだとの見方もある。
アメリカは9月24日、航空戦闘能力を増強するため、台湾に3億3000万ドルの武器の売却を提示した。中国政府はこれに強く抗議、
アメリカに対し、米中関係に「深刻なダメージを与えるようなことは避ける」よう求めた。こうした中、中国はアメリカが求めていた強襲揚陸艦「ワスプ(USS Wasp)」による10月の香港寄港も拒否している。
二国間関係が冷え込む中、アメリカは戦略爆撃機B-52を3日間で2度、9月23日と25日に南シナ海を飛行させた。翌26日には別のB-52が日本の航空自衛隊と東シナ海で共同演習を実施している。
8月だけで、アメリカは東シナ海と南シナ海に4度、戦闘機を送り出している。
こうしたアメリカの動きを中国は「挑発的」であり、国益を守るために「必要な手段を取る」よう脅すものだと批判した。中国は9月最後の週末、南シナ海でその軍事力を誇示するべく「実弾を使った演習」を実施した。
9月30日には米海軍のミサイル駆逐艦「ディケーター(USS Decatur)」が、中国が領有権を主張する南シナ海の南沙(スプラトリー)諸島付近を航行し、中国国防省は2日、これを強く非難した。
アメリカは2015年以降、南シナ海で幾度となく「航行の自由作戦」を実行してきたが、外交政策の専門家で雑誌『Diplomat』のシニア・エディターでもあるアンキット・パンダ(Ankit Panda)氏は「今回は、二国間の緊張が最高潮に達していることと一致するようだ」とツイートしている。
米中の摩擦が激しさを増していることについて、中国の王毅外相は28日、「パニックになる必要はない」と述べたが、二国間関係は驚くべき速さで悪化しているように見える。
これまで中国の習近平国家主席との友好関係をアピールしてきたアメリカのトランプ大統領だが、9月26日の記者会見では、友情は終わりを迎えたのかもしれないと述べた。
「彼はもうわたしの友人ではないかもしれない」
[原文:Tensions between the US and China are escalating to ‘dangerous’ levels as talks break down and military activity increases]
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181003-00010002-binsider-int
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