夢を一度はあきらめながらも、34年ぶりのプロ野球日本一を目指している広島に勇気づけられ、再起を果たしたカープ女子がいる。広島市西区の池田真美さん(23)。今年3月、脳疾患で倒れ、看護師の道を断念した。しかし右足首骨折から今季復活し、4番として打線を牽引している鈴木誠也選手(24)の姿に励まされ、再び夢を追いかけることになった。31日の日本シリーズ第4戦もソフトバンクの本拠地・ヤフオクドームに乗り込み、声援を送る。(山本尚美)
子供のころから看護師にあこがれていた池田さんは高校卒業後の平成26年、広島県県立広島大看護学科に進学した。
野球に関心はなかったが、シーズン中、大学から帰宅する際、マツダスタジアムで盛り上がるファンに興味をひかれ、友人と球場に足を運ぶようになった。大学卒業の今年4月からは応援に通えるよう、球場近くの病院に看護師として就職を決めるほど、熱中していた。
ところが新生活を控えた3月、自宅で激しい頭痛を訴え、搬送先の病院で「多発性海綿状血管腫」と診断された。
脳内で塊になった血管組織が血流を妨げ脳内出血を引き起こす病気で、命に関わる状態だった。担当医からは「手術後は高次機能障害が残る。看護師は無理だ」と告げられ、看護師国家試験に合格していたものの就職を辞退した。
手術は成功し、恐れていた後遺障害もなかったが、看護師になれなかった喪失感だけが残った。再発の心配もあるなか、「こんなの意味がない」が口癖になっていた。
5月末、久しぶりの応援が転機になった。ファンだった鈴木選手の活躍に声援は自然と大きくなった。鈴木選手は昨年8月、右足首を骨折したものの、今季見事復活を果たしていた。池田さんは声援を送りながらけがをした後、鈴木選手が発した言葉を思い出していた。
「(試合で)感情的になったり、だめと分かっていても抑えられなかったり。けがをしなければ人として終わっていた。ナイス、けがです」
「私もじっとしていられない」。チームの責任を背負う4番打者に成長した鈴木選手の姿を見ながら、池田さんは再び看護師を志すことを決意。7月には就職予定だった病院から2度目の内定をもらった。
日本シリーズで広島は鈴木選手の活躍などでソフトバンクに対戦成績を1勝1敗1分けとしてヤフオクドームで31日、第4戦を迎える。
「つらいときにも前を向くことを教えてくれた誠也さんに、感謝の気持ちをこめて精いっぱい応援したい」。池田さんはけがから復活し、大活躍する鈴木選手の姿を自らに重ね合わせている。
引用元:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181031-00000600-san-life
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