米中対立が日に日に過熱している。マイク・ポンペオ国務長官と王毅外相による8日の米中外相会談は、互いに非難を応酬する“異例の展開”となったのだ。
マイク・ペンス米副大統領も先週、中国を名指しして、経済、軍事両面で覇権主義を強め、米国の選挙に介入していると痛烈に批判している。
米海軍は来月、警告のため、南シナ海や台湾海峡で大規模示威行動を実施することを提案した。米国は貿易戦争だけでなく、中国との軍事的チキンレースに勝ちきる構えだ。
「われわれは、中国の取った行動に大きな懸念を抱いている」「われわれの間には根本的な不一致がある」
ロイター通信によると、北京で8日に行われた米中外相会談の冒頭、ポンペオ氏はこう述べた。
これに対し、王毅氏は「中国の核心的利益を損なう誤った言動を直ちにやめるよう要求する」と抗議した。報道陣の面前で、両外相は歯にきぬ着せぬ過激な発言で互いを批判した。
今回の訪中では、ポンペオ氏と習近平国家主席との会談も予定されていたが、急きょ見送られたという。
ポンペオ氏に限らず、ドナルド・トランプ米政権は「対中敵視」姿勢を鮮明に打ち出している。
ワシントンの政策研究機関で4日、中国政策について演説したペンス氏は「中国は今、ほかの全アジア諸国を合わせたのと同じぐらいの軍事費を使い、
陸上、海上、空中、宇宙における米国の軍事的優位性を侵食しようとしている。彼らは米国を西太平洋から追い出し、同盟国を支援できないようにしようとしている。しかし、彼らは失敗するだろう」と、中国共産党を露骨に批判した。
中国は現在、南シナ海で岩礁を埋め立てて軍事基地化し、台湾統一を公言し、沖縄県・尖閣諸島の周辺海域に、軍艦や公船を侵入させている。9月末には、南シナ海で「航行の自由」作戦を行っていた米イージス駆逐艦に対し、中国の駆逐艦が衝突寸前といえる約40メートルの距離まで異常接近した。
ペンス氏はこれを、「無謀な嫌がらせ」と断じ、「自由に航行し、飛行し続ける」と表明した。
さらに、ペンス氏は、米国の知的財産権侵害や、11月の中間選挙で共和党の勝敗を左右する重要州で、中国がプロパガンダなどで干渉していることなどを1つ1つ暴露し、次のように言い切った。
「中国がトランプ大統領の米国第一主義を挫折させようとしているが、大統領は決して屈することはない」
トランプ政権の「対決姿勢」は、軍事行動にも表れようとしている。
CNN(日本語版)は4日、《米海軍、大規模示威行動の実施を提案 中国への警告》という見出しの記事で、米海軍が11月に太平洋軍による複数の作戦を実施するよう勧告する案を策定したと報じた。
作戦の目的について、CNNは「米軍の艦船や戦闘用航空機、部隊などを投入して集中的に演習を実施することで、複数の前線で迅速に敵に対抗できる米国の能力を見せつける狙いがある」とした。
注目の示威行動が行われる場所としては、南シナ海や台湾海峡の中国領海付近を挙げた。
習政権を「安全保障上の脅威」と位置づけるトランプ政権は7月、「対中貿易戦争」に踏み切っただけでなく、軍事的にも積極的行動を続けている。9月下旬には、核兵器搭載可能な戦略爆撃機「B52」を、南、東シナ海で飛行させて軍事的プレゼンスを示した。
ペンス氏の演説や、米海軍の動きをどう見るべきか。
米国政治に詳しい福井県立大学の島田洋一教授は「米国は今、中国に『関税戦争』を仕掛けているが、不公正な経済慣行を改めさせると同時に、軍拡資金を枯渇させるという目的がある。軍事面でも演習を強化しており、経済、軍事両面で中国の封じ込めに入ったといえる」と解説する。
示威行動が行われる場所も重要だ。
島田氏は「南シナ海は、米太平洋艦隊と中東に派遣されている艦隊をつなぐ極めて重要ポイントで、米国には譲れない場所だ。中国は勝手に人工島を造り、
その周りを領海だと主張しているが、国連海洋法条約に入っていない米国は力によって既得権益を確保してきた。今後も『通行の自由を邪魔するものは排除する』という方向で行くだろう」と語った。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181010-00000002-ykf-int
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