【ソウル=桜井紀雄】韓国の康京和(カン・ギョンファ)外相は10日、北朝鮮との経済取引を禁じた韓国政府の独自制裁「5・24措置」の解除について「関係部署と検討中」だと述べた。
観光事業などで韓国との経済協力を求める北朝鮮の思惑に沿う発言といえ、波紋が広がりそうだ。制裁維持を各国に呼び掛けている米政府との足並みの乱れも懸念される。
保守系の李明博(イ・ミョンバク)政権は2010年、韓国哨戒艦撃沈事件を受け、一部を除く北朝鮮との往来や交易、投資などを禁じる「5・24措置」を発動した。
10日行われた国会の国政監査で、与党「共に民主党」の李海●(=王へんに賛の夫がそれぞれ先)(イ・ヘチャン)代表が中断した北朝鮮の金剛山(クムガンサン)観光事業に絡んで「政府は措置を解除する用意があるのか」を質問したのに対し、康氏が「検討中」と答弁した。
李氏が9月の首脳会談で南北首脳らと訪れた中朝国境の白頭山(ペクトゥサン)について観光解禁を望む声がある点を問うと、康氏は「制裁が解け、観光できる日が早く来ればいい」と同調。
南北は条件が整えば、金剛山観光を再開し、観光共同特区の造成を協議することで合意しており、文在寅(ムン・ジェイン)政権の本音が出た形だ。一方で、康氏は「制裁解除には非核化措置が確実に実現されなければならない」と付け加えた。
野党議員は「国会に全く相談がない」「北朝鮮が求めるものをプレゼントすることになる」と反発した。康氏は「政府全体で(措置を)どうするか検討しているという話ではない」と釈明。国連制裁が続いており、独自制裁を解いても実質的な制裁解除につながるわけではないと説明した。
康氏は監査の冒頭、「米国との緊密な連携を基に、米朝間の懸け橋役を積極的に担う」と強調したが、9月の南北首脳会談以降、制裁をめぐる米国との温度差が一層顕在化している。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181010-00000598-san-kr
みんなのコメント