このほど現役引退を表明した、早大ソフトボール部出身という異色の経歴を持つ日本ハム・大嶋匠捕手(28)への単独インタビュー。後編ではプロ初安打やファイターズでの様々な出会いなど、プロ7年間の思い出について語ってもらった。(構成・加藤 弘士)
■賢介の助言でプロ初ヒット
1軍初昇格は3年目の2014年10月4日。翌5日の楽天戦に代打で登場すると、松井裕樹の内角スライダーにバットは空を切り、空振り三振に倒れた。「稲葉さんの引退試合で、お客さんも満員で。2軍はお客さんが少ないと、めっちゃ静かじゃないですか。でもトランペットが鳴って、稲葉ジャンプがすごくて。『こんなに揺れるんだ』と。ここを目指さなきゃと思いましたね」
5年目の16年は開幕1軍入り。一度は降格したが、2軍での好調ぶりが認められて昇格すると、4月10日の楽天戦(コボスタ)ではDHとして初めて1軍のスタメンに名を連ねた。
「試合前のメンバー表、見ていなかったんですよ。球場内の食堂に貼ってあるんですが、いつも見ていなくて。そのまま素通りして、グラウンドに出てストレッチをしていたら、谷口(雄也)が寄ってきて。『今日、頑張ってくださいね』『何が?』って。スタメンと知って『えぇ!?』みたいな感じでした」
3打数無安打。2軍では打率3割以上をマークし、手応えをつかみつつあった。でも、1軍で打たなくては、チームに貢献はできない。大嶋はベテランの田中賢介に助言を求めた。アドバイスはシンプルなものだった。
とにかく力を抜け―。
「普段2軍で打てるのに、1軍でなぜ打てないのか。場の雰囲気で絶対、力が入っちゃうからだと。その後、また2軍に落ちるんですが、賢介さんの言葉を心がけて取り組むようにしたんです」
効果は表れた。プロ初安打は5月31日のヤクルト戦(札幌D)。9回1死、石山の高め直球を捉え、右中間へ二塁打を放った。1軍6打席目で初めての快音。歴史的な一打だった。「賢介さんのおかげです。素直にバットが出ましたし、いい打球が打てました」
3日後の6月3日。東京Dでの巨人戦も忘れることができない。0―5で迎えた7回無死一塁、大野奨太の代打で登場した。マウンド上は同世代の菅野智之がいた。内角直球を振り抜くと、打球は右前に転がるヒットになった。
「菅野君は雲の上の存在。転がったところが良かったんだと思います(笑い)」
その裏にはプロ初マスク。バッテリーを組んだのは斎藤佑樹だ。大嶋にとって同じ群馬、早大出身の先輩になる。坂本勇人、長野久義、阿部慎之助の中軸を8球で3者凡退斬り。超満員のビッグエッグが沸いた。1点差に迫る8回2死では、マシソンから中前安打を放ち、初のマルチ安打。G党からも声援が注がれた。
「斎藤さんとはファームでもよく組ませてもらっていたので、投げたいボールや、やりたいことを自分なりに考えて、リードできました。『いつも通りにいこう』と言ってもらえて。斎藤さんは気さくな方で、よくしていただきました」
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181030-00010001-spht-base
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