「ゲーム依存症」、あるいは「ゲーム障害」とは、日常生活が破綻するほど、持続的、反復的にゲームにのめり込んでしまうことを指す。今年6月18日、WHO(世界保健機構)は、この「ゲーム依存症」を精神疾患として正式に認定した。
患者には未成年が多く含まれており、既に「オンラインゲーム依存症」が社会問題化している中国や、タイ、ベトナム、韓国などではプレイ時間が規制されているが、日本ではいまだなんの規制もない。
今世紀に入ってから、人間の生活を劇的に便利にしたスマホ――その中に潜んでいた悪魔に一人息子を虜にされてしまったライターが、
あまりにこの疾患にたいして無防備な日本社会に警鐘を鳴らすため、現在進行形で続く「ゲーム依存症」との戦いをレポートする第三弾。
「お金はもうないよ。ぜんぶ課金したから」
春休み中にスマホゲームにどっぷり浸かっていた息子も、4月に入って大学が始まると、普通に学校に通い始めた。
用事があって私が大学に立ち寄ったときは、ロビーのテーブルで友だち3人と座ってスマホゲームに熱中しているところをたまたま見かけ、いまどきの大学生はこういうものなんだなと思ったりもした。
大学で息子が楽しみにしていたことのひとつに部活動がある。息子は中学からベースを始め、高校時代には学校の軽音楽部に入り、熱心に活動していた。
そこそこ上手かったらしく、学外のコンテストやライブなどに出て結果を残していた。とにかく息子はベースという楽器がとても好きだった。
だから、息子は入学と同時にさっそく大学の軽音楽部に入部した。息子の演奏を聴いた先輩は「『先輩の威厳がなくなる』とほめてくれた」と目を輝かせて、うれしそうに言っていたのを覚えている。
そんなこんなで、特別大きな問題もなくゴールデンウィークも終わろうとしていたある日の午後、突然、リビングでスマホゲームをしていた息子が言った。
「どうしてもお金がほしいんだけれど、なんとかならないかな」
一瞬、息子が何を言いたいのか私はわからなかった。大学生としては世間並みのこづかいをあげていたし、5月分は1日に渡したばかりだったからだ。
「5月分をあげたばかりでしょう?」
「お金はもうないよ。ぜんぶ課金したから」ああ、またか! 入学祝いをいちどに全額使ってからまだひと月と少ししか経っていないのに、息子はすべてのお金を使ってしまったのだ。
加えて、あるゲームで期間限定のイベント(企画)をやっているらしく、どうしてもいますぐ課金したいのだという。その期間がもう終わるからなんとかしてくれないかということだった。
「お金はちゃんとあげています。大学生なんだからバイトすれば? アルバイトしたいって言ってたじゃない」
アルバイトを始めたら、スマホ代も自分で払う約束をしていたぐらいだ。
「アルバイトしてもすぐにはお金をもらえないから間に合わないよ。いまじゃなきゃ意味がない」
「こづかいはちゃんと約束通りあげているんだから、来月まで待ちなさい。どうしても欲しかったらアルバイトして。検索すれば、単発で当日払いのバイトもあるらしいよ」そう言うと、息子は部屋に引っ込んだ。ゲームをやりながらアルバイトを検索していたようだった。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180930-00057700-gendaibiz-bus_all
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