大坂なおみが日本人として初となる四大大会優勝を飾った全米オープン。しかしその快挙と同時に、表彰式でブーイングが沸き起こったこともまた大きな話題となった。自国のスター選手の“負け”を目の当たりにした時、私たちはどう受け止めるべきか?
2年後に東京2020オリンピック・パラリンピックを控えた日本にとって、この問題は決して他人事ではない。米国で子どものスポーツからプロスポーツに至るまで取材を続ける谷口輝世子さんに、今回の問題について執筆いただいた。(文=谷口輝世子)
不穏な空気に包まれた会場、全てを理解していたわけではない観客
スーパースターの負けを目の当たりにする時、特にそれが自国にとってレジェンドともいうべき選手だった場合には、瞬時に受け入れられないことがある。それがふがいないものであったり、予想外の展開であったりしたら、なおさらだろう。
9月8日、テニスの四大大会である全米オープン女子シングルス決勝で、大坂なおみがセリーナ・ウィリアムズを破り、日本人選手として初めて四大大会優勝を果たした。セリーナは大坂が子どもの時から憧れてきたスーパースターだ。
第1セットは大坂が6-2で先取。しかし、第2セットの途中から、会場は不穏な雰囲気に包まれた。劣勢になったセリーナは規則で禁止されているコーチからのアドバイスを受けたとして審判に警告された。
その後、ラケットを地面に叩きつけて壊し、2度目の警告を受けて1ポイントを減点。ここで彼女はイライラを爆発させた。審判を「泥棒」呼ばわりして、激しく抗議し、ペナルティーとして1ゲームを失った。
会場内ではブーイングが起こり、騒然となった。あの日、コート上の開閉式の屋根は閉じていた。ブーイングとざわめきの声も行き場を失い、それが騒然とした雰囲気に拍車をかけた。
会場内の観客は、セリーナが負けてしまいそうであることと、3度の警告を与えた審判に対し、尋常ではない様子で抗議をしていることは分かったはずだ。
しかし、静かな環境でテレビ中継を見ているのとは違い、大観衆のざわめきの中で、セリーナがどのような強い言葉で審判を責め立てているのか、なぜ、1ゲームを失ったのかを、全ての観客が理解していたわけではないだろう。
ブーイングは審判に向けたものだけでなく、審判に激しく詰め寄るセリーナへ向けたブーイングもあったのではないか。理路整然とした理由はなく、周囲につられてブーイングしていた人も交じっていたかもしれない。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180917-00010000-victory-spo
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