あのシアーズが倒産した。
今から125年も前に、魅力的な商品をカタログ通販で全米に拡販するというビジネスモデルで急成長を遂げた、いわば「郵便時代のアマゾンドットコム」。1980年代には全米に拠点を持つ巨大小売業者へと成長した。
その後、ディスカウント型スーパーの攻勢に対応できずに倒産寸前まで追い込まれ、先日辞任したエディ・ランパートCEO率いるヘッジファンドの支援を受けた。
しかし、ファンドにありがちなコストカットや自己株取得による株価改善といった金融的な対策ばかりが先行し、アマゾンを中心としたネット企業の攻勢に対応できないまま業績は悪化の一途をたどった。
それでも、低金利の恩恵を受けてここまで何とか生き延びてきたが、とうとう返済に行き詰まって会社更生を自主的に申請したというわけである。
海外メディアは「年金積み立て不足問題」に注目
日本のメディアは小売り大手の倒産そのものが話題の中心だが、海外では、倒産に伴うある話題が大きく報じられている。それは「退職者の年金はどうなるか」という問題だ。
シアーズのように歴史の長い企業は、退職した従業員に巨額の年金を払い続けている。原則として、年金の原資は従業員が払い込んだ掛け金であるはずだが、
実際には、今後支払いが想定される年金(債務)額は、従業員たちが積み上げてきた年金資産を上回る「積み立て不足」状態になっていることが多い。
ウォール・ストリート・ジャーナルの記事によれば、アメリカの10大企業年金の平均積み立て率は87.6%(2017年)とされるが、シアーズはそれを大きく下回る63%で、積み立て不足は約4割にも及ぶという。
実際のところ、企業年金はそれを提供する企業が倒産しても支払い停止になることはなく、最悪の場合には連邦政府の年金給付保証公社(Pension Benefit Guaranty Corporation)が保証してくれることになっている。
今回も、PBGCはシアーズの倒産にあたり、企業年金は今後も問題なく支払われると表明している。
しかし、今後策定される再建計画をめぐり、負担のつけ回しが争点となる可能性は高い。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181022-00010001-binsider-int
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