精神科医 本田秀夫
《Aちゃんは、1歳半健診を受診したときはまだ言葉を話さなかったため、発達相談を勧められました。

しかし母親は、「言葉は出なくても母親が言っていることはわかっている」と思い、発達相談には行かず様子をみることにしました。

でも、それから3か月ほどたってもAちゃんは言葉を話しません。母親はだんだん心配になってきました。》

「聴く」「理解する」「表出する」…三つの機能が必要

1歳を過ぎ、子どもが一人で立って歩けるようになると、親の関心は「言葉の発達」に向けられるようになります。しかし、ときに言葉をなかなか話さない子どもや、話し始めても言葉の数がなかなか増えない子どもがいます。

言葉の発達では、「他者の言葉を聴く機能」「言葉の意味を理解する機能」、そして「言葉を表出する機能」がすべて発達する必要があります。

聴く機能(聴覚系)に異常があると、他者の発する音声が脳に届かないため、言葉が遅れます。近年では新生児聴覚スクリーニングの進歩により、聴覚の異常の早期発見が可能になりました。

聴覚の異常がないのに言葉の遅れがある場合、言葉を理解する機能と言葉を表出する機能の両面を調べることになります。これは、発達検査や知能検査と言語検査を組み合わせて行います。

言語障害は言葉の数や文法などにも影響

発達検査や知能検査では遅れがみられず、言語検査でのみ、言葉を理解する機能または言葉を表出する機能の発達に異常がみられる場合を「言語障害(言語症)」と言います。

言葉の出る時期が通常より遅れ、言葉の数が増えるペースや、複雑な文章を理解したり話したりし始める時期もしばしば遅れます。その結果、同年齢の子どもたちに比べ、短くて単純な言語表現にとどまり、文法的な間違いも多くなります。

「適切な言葉を思いつけない」「言葉の定義をきちんと理解していない」「同義語を知らない」「同じ言葉の他の意味を知らない」などの特徴もみられます。

ところが、日常生活の中では、前後の状況や会話の流れなどから直感的にうまく話を合わせてしまうという代償行動を身につけることがあるため、言語障害の存在が見落とされている子どもは意外に多いと考えられます。

「言葉は遅いけれど、わかっているから大丈夫」は危険

《Aちゃんが2歳になったとき、母親は保健師の紹介で自治体の発達相談を受け、「言葉だけでなく全体に発達のペースがゆっくりである」と言われました。あまり言葉かけをし過ぎるとAちゃんが混乱するかもしれないため、「短い単語を中心に、ゆっくりと話しかけること」や、

「言葉と一緒に物や人を見せたり指し示したりして、具体的にイメージを持たせること」などをアドバイスされました。

すると、2歳前半で言葉が出始め、3歳になる頃には2語文を話すようになりました。それでもまだ発達は全体にゆっくりとしています。3歳2か月のときに病院を受診し、知的能力障害と診断されました。》

わが国では、全国的に乳幼児健診が普及しており、言語障害や知的能力障害の子どもの多くは1歳半健診または3歳児健診で把握可能です。

健診で言葉の遅れを指摘された場合でも、しばらく経過をみると順調に言葉が出てくることもあります。しかし、言語障害や知的能力障害がある場合には、焦って無理な指導をすることはかえって危険です。

早期発見によって適切な発達支援が可能となります。言葉が遅いという現象がどのような理由で起こっているのかは、専門家による詳しい評価が必要です。「言葉は遅いけれど、わかっているから大丈夫」と安易に決めつけず、発達の専門家に相談することをお勧めします。


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ネットの反応

1.
一歳半健診で引っかかって、紹介された公的な療育に通いだした頃、親戚に「まだこんなに小さいのに決めつけなくてもいいのに。これから成長していくうちに、自然に治るんじゃない?」と言われた。こういう考えの人が、せっかくの早期発見を無駄にしてしまうんだと思う。
うちは、1歳半からの療育で、外から見たら何も分からないところまで成長しました。
早期発見 早期療育!大事です。
2.
発達は人それぞれ。早い子もいれば遅いけどいきなり急加速する子もいる。
でも本当に発達障害かどうかは小さいうちには余程の症状がないと医師でも診断できない場合もある。うちはそのクチでした。
幼稚園の頃は乱暴とか手がかかるとかはなかったのでちょっとゆっくりなのかなと思いつつ、念のため発達センターや療育のお世話になってました。
小学生になった今、発達障害の特性が如実に現れ支援学級です。あの頃大丈夫と手を打たなければ不登校になってたと思うし、親の私も正しい接し方ができず、親子共々辛かったと思います。
今は療育の経験から聴覚過敏や味覚過敏に気づき理解してあげられるし、周囲にも説明できるので、息子も辛さが緩和されてるかなと思います。
小学校までは履歴書に記入もしないし、ん?と思うところがあれば受け
られる支援を受け、急成長が見られたら、違ったんだ。と支援を卒業すればいい。気になったら相談してほしいです。
3.
こういうのって支援を受けたがらない親もいるんだよね。
まさに「うちの子は大丈夫~」みたいなこと言って。そのまま学校も普通学級に進級させて当然回りについていけず邪険にされてく。
親の意識も変えなきゃダメだね。日頃親は自分の子しか見てない親なんだから。比べるのはプロに任せた方がいいよ。
4.
最近、「医師や保健師の指導でこう言われたけど、大丈夫だと思ったのでしなかった」という話を良く聞く気がする。増えているわけじゃなくて特異な例だからピックアップされるだけかもしれないけど…。
せっかく先進国に生まれて定期検診をうけられて、身体機能的なことばかりじゃなく発達段階についてもチェックしてもらえているんだから、親は勧められたらちゃんと受診してほしいな。
5.
長男は口から生まれてきたのと言う位のお喋りで、次男はママの言葉も遅く3歳から幼稚園入れる予定だったが2歳半位から話し出し普通に喋れた。
ただ小学低学年の頃「遠山の金さん」を「遠やどの金さん」と言った時は目が点になった。
神経質になり過ぎてもよくないと思う。
6.
本田先生の記事は勉強になるな
7.
少しでも疑問に思ったら
発達相談を受けたほうがいいと思う

疑惑を抱えながら
楽しく育児なんて絶対出来ない

8.
言葉わかってるし大丈夫だよ!
これって親同士や、児童館の先生なんかもよく使うフレーズだよね。うちの子も二歳になるまでそれほど話さなくて、この言葉はよく聞いた。
このフレーズは結果的に自分の子に問題がなかったからそう言えるだけで、実は何の根拠もない。他人なら当たり障りのない返答をすることだってある。
自分の子を守れるのは自分。子どもの生きづらさに気づいてあげるのも親の責任。
あともうこのフレーズを迂闊に使うのはやめようと思った。
9.
いま4年生の息子
1歳半、3歳ともに検診で言葉で引っ掛かりました。別室に案内され保健師さんと面談。
結果は、要観察。
運動能力が高く、指示を理解する事も出来るが、発音と単語数が少ない。との事
通っている幼稚園が勉強、運動に力を入れている関係もあり、だいぶ改善されましたが
小学校に入学する際に学校へ相談して、個別で別室指導をしてもらえる『ことばの教室』を申し込み、指導していただきました。
週1回1時間の指導でしたが、みるみる改善。
発音出来なかった『か行』が2ヶ月で発音出来るようになり、指導を受けた1年間で驚くほど成長しました。
今も少し拙い発音と年齢のわりに少ないボキャブラリーですが、あの1年がなかったらと思うと恐ろしいです。
もし心配を抱えているのであれば、行政や病院に相談したり、専門家の指導を受ける事をおすすめします
10.
自分も「わかる」「それな」とか単語しか出てこない。
11.
ボーちゃん


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