“Made by Google”のPixelが、ついに日本に上陸する。Googleは10月11日、Pixelシリーズの最新モデル「Pixel 3」と「Pixel 3 XL」を11月1日に発売すると発表。SIMロックフリー版をGoogleが自ら販売する他、大手キャリアではドコモとソフトバンクが取り扱いを表明している。満を持して導入されるPixelだが、その特徴やGoogleの狙いはどこにあるのか。過去、Googleが手掛けてきたデバイスとの違いなども含め、本連載で解説したい。
リードデバイスから位置付けが変化した「Googleのスマートフォン」
「Googleのスマートフォン」として鳴り物入りで上陸したPixel 3/3 XLは、ハードウェアの設計からGoogle自身が手掛けたモデルだ。
Googleは、ハードウェア事業を強化する一環として、HTCのPixel開発チームを2018年1月に買収。ノウハウを蓄積してきた。Pixel 3/3 XLにも「アクティブエッジ」と呼ばれる、
握ってGoogleアシスタントを起動する機能が搭載されているが、これもHTCが先に導入していたもの。同社の技術を一部吸収する形で実現したとみられる。
AIとソフトウェア、ハードウェアの協調が最大の特徴
とはいえ、ハードウェアとして見ると、他のスマートフォンと大きな違いはなく、むしろ“無難にまとまった端末”にも見える。
最大の特徴は、「ハードウェア単体ではなく、AIとハードウェア、ソフトウェアの組み合わせ」(Pixel担当シニアディレクター、ナンダ・ラマチャンドラン氏)にある。
例えば、先に挙げたアクティブエッジはその一例。握るとすぐにGoogleアシスタントが起動するため、あとは話しかけるだけで一通りの検索や操作を行える。
Pixel 3/3 XLはiPhoneの対抗馬になるか?
Googleが垂直統合的に手掛けたPixelは、「iPhone対抗馬」と評されることが多い。実際、Pixelの発表会でも、HDRの性能をiPhone XSと比較したり、データ移行ツールの先に接続されていた端末がiPhoneだったりと、Appleを強く意識していることがうかがえた。
グローバルのシェアではiOSを大きく上回るAndroidだが、端末単位で見ると販売台数はiPhoneが多く、メーカー別のシェアでも2位もしくは3位につけている。ここにGoogleが割って入った構図と捉えるのは、不自然なことではないだろう。
一方で、メーカーが本業であるAppleと比べると、やはりまだ解決すべき課題は多い。1つ目が販路だ。
日本では、先に述べた通り、ドコモやソフトバンクが取り扱いを表明しているが、KDDIは「ラインアップ全体の考えがある中で、今回については導入を見送った」と、商品企画本部 プロダクト企画部長の大井龍太郎氏は述べている。
大手3社のうち1社だけが導入しないのはキャリアにとってマイナス要因にもなりかねないが、Googleにとっては大きな販路が1つ欠けてしまったと見ることもできる。
Googleは日本でも販売体制やマーケティング体制を強化し、人員を増やしているようだが、iPhoneに対抗できる規模になるには、まだまだ時間がかかりそうだ。特に日本では、キャリア経由の販売が全体の8割から9割を占めているため、3キャリアの攻略は必須といえる。
グローバルで見ても、Pixelシリーズは展開する国や地域が少なく、米調査会社IDCのフランシスコ・ジェロニモ氏がTwitterで公開したデータによると、
2017年の販売台数は390万台にとどまっている。Appleはもちろん、Samsung、Huawei、OPPO、Xiaomiなどの上位メーカーと比べたとき、まだ十分対抗できる規模になっていないのが実情だ。
ハードウェアとAI、ソフトウェアを掛け合わせて特徴を出しているPixelだが、ともすれば、ファーストインプレッションはハードウェアで訴求するAndroid端末よりも“地味”なものになりかねない。Snapdragon 845を搭載し、
ディスプレイもきれいな印象はあるが、ハードウェアだけを横並びで見ると、他のAndroid端末に軍配が上がる点も多い。使ってみて初めて分かる便利な機能もあるが、ユーザーに訴求するのは時間がかかりそうだ。
とはいえ、これだけのAIを実装できるメーカーはまだ少なく、ブランド力の高いGoogleのスマートフォンということで話題性も十分だ。ワイモバイルが販売するAndroid Oneがヒットしていることを考えると、ピュアAndroidを求めるニーズは決して小さくない。
Googleが直接手掛けているため、アプリ開発者の需要も取り込める。iPhone対抗馬に育つにはまだ時間がかかりそうだが、Nexusシリーズのときよりも一般のユーザーに広がる可能性は高いといえる。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181014-00000007-zdn_m-prod
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