数々の恋愛小説で人気の作家、村山由佳さんが唯一無二の愛猫「もみじ」との最後の1年をつづったWEB連載「猫がいなけりゃ息もできない」が書籍化された(ホーム社)。

がんで余命3カ月と診断されてから過ごした、かけがえのない日々が細やかに描かれる。看取ってから8カ月が過ぎたいまの思いを村山さんに聞いた。

「私のすべてだった」
「もみじは、戦友だったり、同志だったり、恋人だったり、友人だったり、親でも子でもあるという、要するに私のすべてだったような存在でした」

もみじは2000年、千葉県鴨川市の自宅で誕生。村山さんは母猫から生まれ落ちる瞬間に立ち会った。数年後、もみじをつれて家を出て離婚。二度目の結婚、そして離婚。

その間、新居を探す1カ月を除き、家を転々とする間も、もみじはずっと一緒だった。激動の時代を村山さんのそばにいて支えた。そして2009年秋、「終のすみか」である軽井沢に引っ越した。

自宅の仕事部屋では、ひょいとひざに乗ってくるもみじを抱きかかえてパソコンに向かう。キーボードを打つ間、もみじは村山さんの腕にあごを乗せてうつらうつら。

「私は微動だにできないから、原稿ははかどりますよね。なぜかもみじの意志は絶対で。ほかの猫なら、重いわって下ろせるんですけど、人を従わせる威厳のある猫でした」

もみじを見送るまでの日々

2017年5月、もみじは17歳の誕生日を迎えた。翌月、口の中の異物をしきりに気にするもみじを病院へ連れて行った。上あごの奥に腫瘤ができていた。診断は「扁平上皮がん」。平均余命は3カ月とされる悪性の病だった。

「最初はパニックでした。いつかは見送らなければならない命だと思ってはいたんですけど、ぜんぜん覚悟が決まっていなかった。でも、考えないわけにいかなくなりました。目の前にいる彼女はいままでと同じように日々を淡々と生きている。

日々の生を受け入れるのと同じように、死も受け入れているんじゃないかなあって。彼女の目を見ると、『全部分かってるよね、お前』って、思えるんです。

私は、残された猶予期間をなるべく苦しまず楽しくいられるようにすることに心をくだきました。できるだけもみじの望むようにさせてやりたいと」

パートナーに支えられ、もみじと暮らす一日一日が濃密になった。東京での仕事でも泊まらず、最終の新幹線で帰り、そばにいた。

「私たちと一緒にいる間、とにかくそばにいるように私たちに要求する猫でしたから。早く寝ろ、とか腕枕しろ、とか(笑)。見送るまでの間、毎日腕枕してやれたのは良かったなと思います」

食いしん坊だったもみじ。口内のがんだったので、どうやったら痛くなく、おいしく食べる楽しみを持続させられるか、が問題だった。心から信頼できる院長先生に出会い、患部の手術は12回に及んだ。20日から1カ月に1度のペースだ。「よく耐えて、よく食べてくれました」

奇跡的に約10カ月が過ぎた。だが、2018年3月22日、もみじは村山さんとパートナーに見守られ、穏やかに息を引き取った。

「看取りの瞬間にそばにいられて良かった、ほんとに。今までにない苦しさでしたけど。この仕事で良かった、と思いました」

ペット葬儀社に来てもらい、火葬した。パートナーと親友と、仕事の補佐を担う家族同然の親子とみんなでもみじをいたわり、ほめる言葉をかけて送り出した。


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ネットの反応

1.
気持ち解ります。(T_T)
本当に動物って愛おしすぎる。
2.
気持ち痛いほど分かります。
自分も牡猫18年で今年の9月に他界しました。
今でも寂しいですね。でも作者には、もみじの弟分達が4匹も要るから楽しいでしょ。
3.
お気持ち分かります。もみじちゃん安らかに。息子の家で飼われてた雌猫のミントも2日前に亡くなりました。大人しく利口な猫ちゃんでした。合掌。
4.
よくわかるな。
ネコはほんと、かけがえのない存在になる。
多くのネコが幸せになってもらいたい!
5.
猫が嫌いな人は多いよね。
6.
村山さんの事はきっと忘れないです。
もみじちゃん幸せだったと思います。
7.
わたしも結婚と同時に猫との三人生活を送り、13年後離婚をして2年後猫が旅立ってしまいました。何もかも失ってしまった気がして、しばらくは思い出しては泣き…うちはオデキを取る手術をしたところ胃癌が見付かり既に肺に転移してる状態で余命宣告されました。
奇跡を求めて色々試しましたが旅立ってしまいました。亡くなる前夜側にすり寄ってきたので一緒に寝ました。
朝目覚めた時、隣にいないので慌てて探すと猫トイレでグッタリと倒れこんでました。弱々しく息をする我が子を撫でながら声をかけ続け、数分後息を引き取りました。
最後まで粗相をしないようにトイレへ行く健気さに涙が溢れて仕方ありませんでした。
8.
何をするわけでもない猫だが、
この猫があり、このかたは精神安定し、
良い仕事ができてきたはず。
また友人ネットワーク形成も猫のおかげだろうね。

18年も一緒にいたら、
まさに戦友だろう。

21世紀の18年は激動だらけだから、
パートナーは神様みたいなもんだろう。

9.
『恋は終わったけど愛は残った』
いつか悲しみが消えて、楽しかった日々の思い出に癒される日が訪れますように。
10.
昔実家にいた愛犬のことは一生ペットロスだし、今実家には猫2匹、自宅には犬1匹、いつかはこの3人を看取ると思うと今からため息しか出ない
でも幸せな一生を過ごさせてやりたい
11.
うちにも2匹の猫がいる。大事な大事な子供です。いつかは、私より先に死んでしまうのは、わかっているけど…やはり、できるものならずっと、生きてて欲しい。と願います。
12.
今年の夏に 死にそうな猫と出逢い 我が家で命を繋ぎ 今では穏やかに暮らしています。
猫ヘルペス、脳障害、猫エイズ。
病院で告げられた時は 頭が真っ白で どうやって病院から帰って来たか 覚えてない。

毎日を楽しく、細心の注意を払って この子に私の全てを注ぎ込もう と心に誓った日から 泣くのを辞めた。
今も夏の出逢いから 治らない傷の治療中です。
でも 元気。犬達に鍛えられながら 楽しく過ごしています。
ご飯が美味しくて もっと食べたいと言うけど、ダメ?!もうご馳走様です!って言うと チッ!って顔をする。今も隣で小さい寝息を立てている。エリザベスカラーがいつ外れるのか。

いつか来る日の事は 考えない。今考えちゃいけない。この子は強い。まだまだ時間はある。
13.
同じように会い猫を癌で亡くしました。私の戦友であり、親友であり、姉妹のような存在だったので、亡くなった時は人生で一番泣きました。
余命宣告されてから毎日一緒に寝てお世話ができたのは幸せだったと思います。でも何年経ってもやっぱり悲しいんですよね。天国で待っててくれてるかなぁ。。
14.
自分の25年くらい前に死んでしまったうちの子も未だに思い出してごめんね。もっと優しくしとけばよかったと悔やんでます。この方はネコさんとちゃんと向き合ってたと思います。
15.
扁平上皮癌とうちの子が診断されたとき、画像検索していろいろと覚悟を決めたけど幸か不幸か腎不全が悪化して亡くなってしまった。
癌も腎不全も大体のケースでは長生きのしるしだけどもうちょっと一緒にいたかったなぁ。できたら今でも一緒にいたかったなぁ。


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16.
TVで見ました。モミジちゃん。とっても可愛いかったです。ふわっとした感じで歩き回り、飼い主さんに甘えてましたね!

でも私には
他人事ではないです。
思わず 我が家の10歳の黒猫ちゃんを抱きしめてしまいました。呼びかけたら必ず返事をしてくれる子で、カシミヤのような手触りの美しい黒い毛を毎日丹念にお手入れしてます。

彼女とのかけがえのない時を、大切に過ごそうと思います。
でも、涙なしには読めませんでした。

もみちゃん、飼い主さんを守ってあげてね。

合掌

17.
ペットは3歳くらいの人間の子供と同じとか。
要するに可愛い盛りの子供をなくした親と同じ。
ペットロスはそのくらい悲しみが深い。
18.
長く飼って要るとペットと言うよりも同居人みたいな気になって来るから不思議です。
19.
作者の方のお気持ちわかります。6年間可愛がった外猫がいなくなった時落ち込んでしまって本当に病気になりかけた経験があります。
20.
私が亡くした猫も、扁平上皮がんでした。口の中に腫瘍が出来ていたのに、気づいてあげられず、おかしいと感じた時はもう手術も出来ない状態でした。
何軒も病院を当たって最後に信頼出来る獣医さんに巡りあい、付きっきりで看病して自宅で看取りました。きれいだったあの子の顔ががんで崩れていき、最後は目が見えなくなりましたが、亡くなる最後の日まで、1%の希望にすがる思いでした。
数年経った今、やっとあの子の死を冷静にとらえられるようになりましたが、他の猫がいる今でもやはり、あの子の席は永久欠番ですね。もみじちゃん、安らかに。
21.
今年春に20歳で旅立ったうちの猫を思い出してしまった
病気で日々弱ってく姿を見るとつらいけど1日でも長生きしてほしいなんて矛盾な考えで悩んだっけな

長年連れ添った家族との別れは本当につらい

22.
泣けてしまい、記事を最後まで読めていません。どうしても途中で涙があふれて文字を追えなくなります。コメントすることで少し自分の気持ちをはきだしてから、また読んでみます。
先に旅立った猫も、今ここにいる猫も、本当にかけがえのない存在です。
23.
余命がわかるだけ良いと思います。

急に歩き方が変になり病院に連れて行ってもすぐに病名が分からなくて、わかった時には助け様が有りませんでした。
脳の病気で一週間位の出来事です。
あっと言う間に旅立ちました。

今でも寂しいです。

24.
うちは犬だけど、たまに聞きます親の時より涙が止まらないと。
なぜなのでしょう?
25.
いつか来る日と分かっていても、わかりたくない。もみじは、良い飼い主に出会って幸せな生涯だったと、思う。
26.
死ぬのは仕方ない。自分より先に死んでくれなきゃ心配で飼えない。
でも死ぬまでの間に辛い思いをさせるのが耐え難い。
27.
目から汗が出た。
毎日可愛がってるけど、もっと可愛がる。
28.
タイトルと同様の経験をしました。読もうとしたけど、最初の数行しか読めなかった。記事を書いた方、申し訳ない。
29.
大切な家族なんだなと改めて思います。
支えになってくれてるんだよね、いてくれるだけで。
30.
我が家の猫も18歳でがんに。安楽死を拒否。嫌がる猫に抗がん剤を無理やり飲ませ、余命3ヶ月だったのに1ヶ月少しで死なせてしまった。その反省から今度は治療はせず家で自然に寿命を全うさせるつもり。


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