日本の主要自動車メーカーが一斉に中国での増産に向けて設備投資を強化しています。なぜこのタイミングで日本の自動車メーカーは中国シフトを強めているのでしょうか。
国内トップの自動車メーカーであるトヨタ自動車は、中国での生産台数を大幅に引き上げる方針を明らかにしました。
現在、トヨタは年間130万台を中国で生産していますが、これを170万台まで引き上げます。中国市場ではトヨタの先を行く日産も新工場の建設などによって中国での生産能力を3割高めることを決定しました。同様にホンダも生産能力を2割増強する計画を進めています。
各社が中国への投資を強化しているのは、大手自動車メーカーにとって、中国が残された唯一の成長市場となっているからです。
これまで各国の自動車メーカーは米国市場を主戦場としてきました。米国は先進国としては珍しく人口が増えている国ですが、自動車は社会に完全に定着しており、
人口増加を上回るペースで市場拡大を継続することは困難です。米国の自動車市場はすでに飽和しており、従来のような伸びは期待できないというのが、業界関係者の一致した見方です。
一方、中国はすでに世界最大の自動車市場となっており、2017年における中国の自動車販売台数は約2900万台となりました。これは米国の1.7倍、日本の6倍近い規模です。
市場の大きさを考えると、大手自動車メーカーが従来と同様の成長を続けるためには、中国での展開を避けて通ることはできません。
日本メーカーの中では、日産とホンダが中国市場で先行しており、トヨタは少し出遅れていました。独VW(フォルクスワーゲン)や米GM(ゼネラル・モーターズ)など、
中国で成功しているライバル企業と比較すると、その差は歴然としています。これまでトヨタは北米市場に全力投球してきましたが、いよいよ中国市場の勝負に乗り出したわけです。
しかしながらトヨタにとって中国は有利な市場とは限りません。中国は国策としてEV化を推奨しており、トヨタが得意とするハイブリッド車には政策的な支援がほとんどない状態です。
一方、日産とホンダは低価格なEVにシフトする戦略ですから、中国市場との相性はぴったりです。トヨタが、世界的な自動車メーカーとしてのポジションを中国でも確立するためには、EVを成功させることが何よりも重要となるでしょう。
(The Capital Tribune Japan)
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181001-00010001-wordleaf-bus_all
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