9月26日、菅官房長官が都内の講演で、外国人労働者の受け入れ拡大に向けた新たな在留資格に関し十数業種が検討対象になっていることを明らかにして話題となった。6月の経済財政諮問会議で方針が提示されていた介護、農業、建設、宿泊、造船の5業種に加え、「外食や水産業などもろもろ」が加わり、十数業種へと対象が拡大すると報じられている。
女性、高齢者、外国人という新戦力
外国人労働者受け入れに関しては、過去の寄稿「労働者『50人に1人』が外国人の時代――もはや宿泊・飲食業はなしでは成り立たない」でも議論したが、
これを機に改めて取り上げてみたい。 先に結論を述べておくと、外国人労働者の受け入れは不可抗力であり、政府方針には賛同すべき(というよりせざるを得ない)部分があると考える。
上述の拙稿でも同じデータを紹介したが(ゆえに図表の再掲は避ける)、例えば2017年に関して言えば、業界全体で宿泊・飲食業は就業者数が前年比横ばいだったが、
外国人労働者は+2.7万人増えている。外国人労働者がいなければ、就業者の純減により成立しない業者が相当数いたことになる。
農林業に至っては+0.3万人の外国人労働者を受け入れているが、就業者全体で見れば▲2.0万人と減少している。最もパイの大きい製造業も前年で+7万人という就業者全体の増加幅に対し、外国人労働者の増加幅は+4.7万人と7割弱を占めている。
こうした数字だけ見れば、「外国人材の働きなくして日本経済は回らないところまできている」状況と言って差し支えないようにも思える。
目下、 生産年齢人口(15~64歳)が減少しているにもかかわらず、2013年以降の就業者数が増えている背景には、女性・高齢者・外国人という新戦力の存在があるからだ(図表1)。
2000年代前半、ドイツが「欧州の病人」と呼ばれた状況から復活した一因も、このような層の労働力化に余念が無かったからと分析される。
ドイツと類似した人口動態を持ち、経済としても比較されることの多い日本としても「外国人労働者お断り」という姿勢を貫くのは難しいと想像する。
引用元: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181007-00010002-binsider-bus_all
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